高齢者に対するワクチンのご案内(11/29改定)
- rtanaka-tky
- 2024年9月23日
- 読了時間: 4分
更新日:11月29日
(2025年11月29日改定)
高齢者の方にお勧めのワクチンをご案内します。
高齢者の死因の多くは肺炎です。誤嚥性が多いですが、嚥下機能を改善するのは、なかなか困難です。脳梗塞やパーキンソン病などの神経障害が誘因のことが多く、予防が重要です。高血圧、糖尿病のコントロールが脳卒中(脳梗塞、脳出血など)の予防には重要です。また心房細動からの脳梗塞は重症化しやすいので、心房細動をいち早く見つけて、治療することも大事です。
肺炎そのものは、軽症から重症まであり、ほとんどが細菌感染(肺炎球菌やインフルエンザ桿菌など)であり、抗菌薬(抗生物質など)など使用しますが、重症の場合は奏功しない場合があります。また風邪をはじめとするウイルス感染から細菌感染を合併することが非常に多いことがわかっております。
以上から、種々の予防ワクチンが開発されてきました。上気道感染をきたすウイルスのワクチンには、インフルエンザワクチン、新型コロナワクチン、RSウイルスワクチンがあります。また肺炎をきたす細菌の半数以上は「肺炎球菌」という細菌ですので、肺炎球菌ワクチンは肺炎の半分近くに有効です。 なおインフルとコロナのワクチンは効果持続期間が半年程度ですので、肺炎の多い冬に向けて、毎年秋に打つことになっているわけです。
1. インフルエンザワクチン
インフルエンザは罹患後早期なら、有効な薬剤(タミフルなど)がありますが、感染をきっかけに(細菌性)肺炎の混合感染をきたすと、重症化しますので、予防が第一です。
効果の持続は半年程度とされています。 当院では64歳以下では4000円、
65歳以上では1800円の予定です。
2. 新型コロナワクチン
オミクロン株になってから、以前のような(新型コロナウイルス性)肺炎は激減しているようです。これはウイルスに対する、過剰な免疫反応を示す、一種の間質性肺炎で、非常に重篤でした。現在は新型コロナウイルス感染は咽頭炎、気管支炎にとどまっているようで、重篤なウイルス肺炎は稀ですが、合併症(細菌感染や、脳卒中や心筋梗塞など)が発生して重症となる可能性がありますので、ワクチンは有益です。 効果の持続は半年程度とされています。
当院では64歳以下では15000円、65歳以上の定期接種では補助があります。千葉市在住の65歳以上の方は8000円です。当院では過去と同様のmRNAワクチンを使用しています。
3. RSウイルスワクチン
小児に多い、RSウイルス感染が、高齢者でも重症肺炎のきっかけになっていることがわかっています。
現時点では生涯1回のみのアレックスビーが60歳以上で接種可能です。
当院では26000円です。
肺炎球菌ワクチンを接種した後にご検討ください。
興味のある方は、資料をお渡ししますので、医師にお聞き下さい。
4. 肺炎球菌ワクチン
多糖体ワクチンのニューモバックスと結合型ワクチンのプレベナー、バクニュバンス、キャップバックスがあります。 ニューモバックスは、1988年に発売され、2014年から2023年度まで65歳以上の定期接種となり、65歳以上の方は3000円程度で接種可能でした(自費では、当院で7500円)。 10年経過しましたので、2024年の4月からは、65歳の方のみ公費負担がありますが、66歳以上では全額自費となりました。
近い将来、定期接種はニューモバックスではなく、プレベナーに移行する予定のようです。(結合型ワクチンの方が有効性が高い。ニューモバックスは最初に発売され、実績がありますが、その役割は終えつつあると考えます。) どのワクチンを打つかは、年齢や希望により異なりますが、ご相談ください。また他の説明書「肺炎球菌ワクチンについてQ&A」をご覧ください。 プレベナーは10000円、キャップバックスは13000円です。
以上が主に肺炎を防止するためのワクチンでした。
肺炎とは直接関係しませんが、罹患すると厄介な帯状疱疹のワクチンをご紹介します。
5. 帯状疱疹ワクチン 2種ありますが、可能ならシングリックスをお勧めします。
水痘ワクチン(8000円) 5-7割程度の有効性。持続期間は5年程度です。
シングリックス(20000円×2回) 現時点では生涯1回のみ。10年以上有効。有効性も9割以上です。
帯状疱疹ワクチンは、高齢者には非常に有効であるため、本年度から65歳以上の方に対して定期接種となり、一部補助が出ることとなりました。ただし本年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、、、となる方のみです。

コメント